2006年 第9回日本語スピーチコンテスト1位入賞

「恩を忘れない心」 チウ・ヒーア

皆さんは自分の親以外にお世話になっている人がいますか。
誰でもお世話になっている人がいると思います。カンボジアには、貧しい生活を 送っている人がたくさんいます。そして、その人たちを支援する外国人やカンボ ジア人もたくさんいます。皆さんの中にも他の方々の支援で学校に行ったり会社 に就職した方がいらっしゃると思います。

私は貧しい村で生まれました。村では学校へ行くことも自分で勉強することもで きませんでした。2000年に私はシェムリアップにやってきて、ある孤児院で生活 することになりました。その日から私は家でできなかったことができるようになり ました。今、私は高校に通っています。孤児院の指導員は厳しい人ですが、心の 中はとても優しい人です。もし、私が間違ったことをしたら、すぐに叱って間違いを 正してくれます。どの子もえこひいきなしにかわいがってくれて、いつも私を応援 してくれます。怪我や病気をしたときは、1日中看病をしてくれます。私がかかとに 大怪我をしてしまった時も指導員は手厚い看病をしてくれました。私はうれしくて 涙が出ました。指導員だけではありません。孤児院には訪問して下さる日本人の 方々や日本語や英語の先生にも大変親切にしてもらっています。このように私は 色々な方から恩を受けています。もしその方々がいなかったら、今、私はこのスピ ーチを書くこともできなかったでしょう。本当に心から感謝しています。

しかし、孤児院でとても残念な出来事がありました。長い間一緒に生活していた 子どもが孤児院を出て行ってしまったのです。その子どもは指導員のアドバイスを 無視して自分勝手なことをしたり、口答えをしたりしていました。どうして出て行った のか彼の気持ちはわかりません。しかし、受けた恩を忘れて、お世話になった方々 に感謝の気持ちも伝えずに、孤児院を出て行ってしまうのは大変失礼なことだと 思います。子どもが出て行くとき、指導員は笑顔で見送っていましたが、きっと心 の中では泣いていたでしょう。皆さん、もし誰かのために何かしたのに、それが無 駄になってしまったら、どんな気持ちになるでしょう。私はお世話になった方々が がっかりする顔は見たくないです。私は毎日、自分の将来のために、一生懸命 勉強したり、小さい子どものお世話をしたりしています。今はまだ、お世話になって いる人に何も恩返しすることはできません。

人が生きているのは人のおかげです。私はこれからも孤児院の指導員が教えて くれることを素直に聞いて、頑張って勉強したいと思っています。そして、将来は 孤児院で学んだことをいかした仕事がしたいと思っています。今、私はしていただく ばかりで、お世話になっている方々に何かをしてさしあげることはできませんが、 将来は孤児院の指導員のように、次の時代の子どもたちの世話をしたいと思って います。人は思いやりを持つ事が大切です。僕が親切にした人が次の時代の人 たちにその気持ちを伝えて、そしてまた次の時代の人たちへ、次から次へと続い ていけば、人を思いやれる人がどんどん増えて行くでしょう。親切な気持ちは親切 をうむのです。皆さん、お世話になった人に対して恩をあだで返すようなことを絶対 にしてはいけません。
お世話になった方への気持ちを忘れずに、自分も誰かに親切にすることは、お世 話になった方への恩返しにもなると私は思います。
皆さんはどう思われますか。