2011年 第14回日本語スピーチコンテスト 3位入賞

『小学生の僕の夢』 リアン・ラタナー

父と母が離婚したために祖母は僕を施設に連れて来ました。
その時僕は7才でした。施設に来てからもう5年たって今僕は 小学校6年生になりました。
小学校に通いながら施設で日本語や英語などを勉強しています。
施設には僕のような子供や中高生が28人一緒に住んでいます。
皆で一緒に勉強したり、遊んだりしています。

施設には毎年日本人の大学生のスタディーツアーが来ています。
彼らが来た時みんなで交流する時間があります。ご飯を作って食 べたり、カンボジアの歌やダンスの発表会をしたりします。交流 する時日本語を使って話しています。彼らと日本語を使うことが できてとても勉強になります。交流する時彼らによく聞かれるの は「将来の夢は何ですか?」と言う質問です。最初彼らに聞かれ た時ぼくは「まだわかりません。」とこたえていました。
その時は将来の夢は何か分からなかったからです。

しばらくしてまた、別のスタディーツアーが施設に来ました。
この時はあるお兄さんが自己紹介で「私の将来の夢はいい医者に なってけがをした人や皆のような子供やおじいさん、おばあさん が病気になった時にめんどうを見てあげる仕事をすることです。」 と言いました。そして最後に「みんなもぼくのように自分の夢を 持ってください。そうするとその夢に向かって頑張ることができ ます。」と言いました。お兄さんが自己紹介した後、別のお兄さ んとお姉さんも次々と自分の将来の夢を僕たちの前で言いました。
それでも僕は自分の将来の夢が分かりませんでした。

ある日、日本語の授業で先生からの宿題で「自分の将来について」 と言う短い作文書いて来てくださいと言われました。この時です。
僕は先生に初めて怒られました。他の生徒が書いてきたのに僕だけ 将来の夢が分からなくて作文を書くことができなかったからです。
先生が言いました。「人には一人一人自分の夢があるはずです。
そうすると人は努力するようになりますよ。」あの時の日本人のお 兄さんと同じことだったのです。「ラッタナーくんは毎日どうして 勉強しているの?それを考えてもう一度作文を書いてきてください。」 と言われました。この時はよく考えて僕もやっと一つの夢に気づき ました。それは日本語を使って日本の会社で働くと言う夢でした。
夢を持って作文を書くことができました。その作文を授業で発表し ました。先生は「夢を実現するためにがんばって勉強してください ね。」と応援してくれました。僕はとてもうれしくて、もっとがん ばる気持ちになりました。

ところが、小学校6年生になってからぼくは別の夢ができました。
それは同じく日本語を使って日本のスタディーツアーの大学生や他 の日本人のお客さんにカンボジア人の生活や習慣などを伝える日本語ガイドになるという 夢です。施設に訪問する多くのお客さんは、とくにカンボジアの子 どもの生活やカンボジア人の生き方を知るために来ています。
今のシェムリアップでは遺跡を説明する仕事としてガイドをしてい る人が多いと思います。僕はカンボジアの生活や習慣、文化も伝え ることができるガイドになりたいです。ガイドとしてカンボジア人 と日本人の交流で二つの国をつなげる仕事がしたいです。
この夢があって今僕は学校の勉強や日本語を一生懸命勉強しています。
いつかこの夢が実現できるように目標を持って勉強しているのです。

今、施設を訪問するお客さんの前で「僕の将来の夢は日本語のガ イドになることです。」と自己紹介で言うことができます。僕は今 まだ小学校6年なので、これから夢が変わるかもしれませんが、今 その夢に向かってがんばりたいと思っています。皆さんも負けない で夢を持ってくださいね。
夢があったほうが自分は努力する気持ちになるのでいいと思います。
夢を実現するためにがんばりましょう!